アマチュア無線DX症候群

 アマチュア無線(SWL)を初めて20年以上になりますが、15年程前の事を思い出すと昼夜かまわず、部屋に入ったきりでワッチをしており近所からは、あそこの息子は無線気違いだと良く言われたものでした。

 仕事を初めて、この病気も少しは良くなるかと思っていたのですが、いよいよ末期症状が出始めました。

先日、アマチュア無線をあまりしらない人と話をした時の事であるが、
「アマチュア無線をやっている人達でも、特に外国と交信している人達は、完全に病気だといいますね、松岡さんも同じですか」と聞かれて、一瞬返答に困ったが、すぐに「もう完全に病気ですよ、それも第3期まで進んでいてそろそろ末期症状的になつていますよ」と答えました。

 すると「ほー!おもしろそうね、第3期というと当然、第1期、第2期はある訳ね。
その話しを聞かせて下さいよ」ということになり、DX界の病的活動を披露することになつてしまいました。

だいぶ前置きが長くなりましたが、その日に話した内容に付いてまとめてみる事にします。

 まず、病名を<DX症候群> 
いくつかの併発性の諸症状も加える。

<第1期症状>

* アマチュア無線バンドの中から意識的に国内と国外を分け始める。
* DX通信が本来のアマチュア無線であるとの確信のもとに、DXQSOのみを生きがいと感じはじめる。
* リグ、アンテナ等のたぐいを、少しずつDX向きに変更する。

<第2期症状>

* 何か目標が決まる。たとえばDXCC=DXAWARD
* やたら競争したくなりコンテストやパイルアツプなどに参加をするようになる。
* リグ、アンテナのグレードアツプを、常に考えるようになる。
* DX仲間へのシツトが、女性に対して以上になる。
  (これはすでに病気)
* 無線雑誌のDXコーナーを丸暗記するようにボロボロになるまで読む。

但し、第2期症状では、他のことが需要になって来ると直る場合がある。
例えば、FBなYLがあらわれるとか、テニス等ほかの遊びに目がむくとか、私は、この第2期症状から脱皮出来た人は尊敬します。

<第3期症状>

* DXに関しての情報収集に夢中になりいくらお金をかけてもわざわざ外国からニユースなるものを取り寄せたり、世界各国のいろんな情報が気になり、何万円もするような世界地図を持つようになる。
(実は、私もDX NEWS SHEET,JAPAN DX NEWS,THE DX NEWS,QSL REPORT,59 CQ,モービルハムを購続し、3万円もする世界地図を持ちニタニタしています。)
* 珍しいカントリーが出てきたと言っては仕事や学校を休み、昼となく夜となく”ジャパーン!!”と連呼する。
* 睡眠よりもカントリーの増加に力をいれる。
* 新聞を読むよりもDXニユースを、又、新聞を読んでも外国でクーデターが起きていないか、政権が変わっていない  かを気にしながら読む。
* DXのカード処理やQSOデータ処理にコンピュータまで利用してしまう。
* 無線と関係のない人との話の中でも、すぐにDXの話が出てしまう。
* 食事を減らしてもリグやアンテナは、ピカピカの一年生にしたい。
* パイルアップになると人格が変わる。

<末期症状>

* 第3期症状の慢性化。
* 呼ぶ側から、わざわざ無線をやりに外国まで出かけ、呼ばれる事にエクスタシィを感じるようになる。
* 自分が持っていないカントリーからのDXペディション計画が発表されたら、多額の寄付をしたがる。
(某局は、あるDXペディションに数十万円の寄付をしたとか?)
* すべてのDX情報が、何でもコントロール出来るようになる。

 以上が、箇条書きにした主な症状ですが、現在の所、直す薬もありませんし、本人の努力でもやや不可能と思われます。したがつてやや緩和するという方向ではスポーツや、DXサー以外の人とコミニュケーションを多く取り幅広い視野に立つことが、症状を緩和する唯一の方法だと思います

 一例をあげますと、某氏は深夜むつくり起きあがつて、珍しいカントリーのカードに頬ずりをしたり、からおけのマイクでジャパーンとやったりなど、末期的症状としか思えないDXサーが実在することを最後に付け加えて置きます。

  1986年3月13日記